フッ素について
「フッ素って身体に悪いって聞いたけど…本当ですか?」
そんな質問を、患者さんからいただくことがあります。
SNSやニュースでは"フッ素"という言葉がひとり歩きしていて、実は全く別の種類のフッ素化合物が混同されていることが多いんです。
今日は、歯科のフッ素のことを、できるだけわかりやすくお話ししてみたいと思います。
🦷有機フッ化物と無機フッ化物の違い
「有機フッ化物」は、炭素とフッ素がくっついたもので、PFAS(ピーファス)やPFOS(ピーフォス)と呼ばれるものがその仲間です。
これらは工業製品(撥水スプレーや消火剤など)に使われていて、環境や体の中に残りやすいという問題点があります。
それに対して、歯科で使うのは「無機フッ化物」です。
フッ化ナトリウム(NaF)などが代表的で、虫歯を防ぐために世界中で使われている、安全性の確立した成分です。
身体に入っても水に溶けて、尿として排出されます。
つまり、歯科で使うフッ素とPFASは、名前が似ているだけで中身は全く別物なのです。
🦷安全に使うために
歯科用のフッ素も「量」が大切です。
体にいいお塩やお水でも、適量であれば体に必要で、摂り過ぎると負担になるのと同じです。
たとえば、歯磨き粉のチューブを一本まるごと飲み込んでしまうと気分が悪くなったり、お腹が痛くなったりすることでしょう。
適正な量を使用すると体に害はなく
・歯質強化(歯を強くする)
・再石灰化の促進(歯を修復する)
・細菌の酸産生抑制(虫歯菌の活動を抑える)
という効果が得られ、虫歯の予防になります。
《効果的な使用量》
歯が生えてから~2歳 900~1000ppmの歯磨き粉を米粒大
3~5歳 900~1000ppmの歯磨き粉をグリーンピース大
6歳~成人 1400~1500ppmの歯磨き粉を歯ブラシ全体(1.5~2cm)程度
こちらを目安に使用してください😊
🦷おわりに
「フッ素=危険」というイメージだけが広まってしまうのは少し残念なこと。
本来フッ素は、正しく使えば歯を守ってくれる頼もしい味方です。
毎日のケアに安心して取り入れてくださいね🌸
阿部
